粉飾決算がなされ、会社が有価証券報告書等の書類に虚偽の記載を行い、株主が損害を被った場合、株主は会社に対して、被った損害を賠償請求することができます。
どのような書類が対象ですか?
事業年度毎に公表される「有価証券報告書」、4半期及び半期ごとにそれぞれ公表される「四半期報告書」、「半期報告書」、大きな損失の発生など、会社に重大な事実が発生した場合に公表される「臨時報告書」が対象となります。
また、株式の募集・売出しの際に公開される「有価証券届出書」や「目論見書」も対象となります。
これらの書類(以下、これらの報告書を総称して「有価証券報告書等」といいます。)に虚偽・不実の記載がある場合に、損害賠償請求が検討されます。
虚偽の記載とはどのような記載をいうのですか?
有価証券報告書等に、①重要な事項について虚偽の記載がある場合、②記載すべき重要な事項の記載を欠く場合、③誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載を欠く場合(以下、「虚偽記載等」と呼びます)には、報告書の発行者である会社が、株主に対して、虚偽記載等によって生じた損害を賠償する責任を負います。
重要な事項についての積極的な虚偽の記載のほか、重要な事実の不記載も、虚偽記載等と認められます。
「重要な事項」とは、客観的に投資判断にとって重要と認められる事実をいい、個々の投資者が主観的に重視していたか否かは問題とならないという解釈が一般的です。
典型的な事例としては、財務諸表に関する虚偽記載が挙げられますが、主要な株主の保有株式数など上場廃止基準に関係する虚偽記載も該当します。
損害賠償請求の法律上の根拠は何ですか?
基本的に、民法に基づく不法行為責任(民法709条)、金融商品取引法に基づく損害賠償責任(金融商品取引法21条の2等)が根拠となります。
どの法律に基づいてどのような請求を行うかは、立証の難易や賠償金の額、時効期間等を考慮して、ケースごとに個別に検討します。
株主は誰に対して損害賠償請求できますか?
有価証券報告書等の虚偽の記載があった場合、株主は次の者に対して、損害賠償請求をすることができます。
当該有価証券報告書を提出した会社
当該有価証券報告書を提出した当時の会社の役員(取締役、会計参与、監査役もしくは執行役又はこれらに準ずる者)
当該有価証券報告書に監査証明をした公認会計士または監査法人
立証の難易、回収可能性、資力の見地からすると、基本的には、①会社を相手方とすることが第一の選択肢になります。ただし、ケースによって事情は異なりますので、個別の事情を勘案して、有効かつ効率的に回収できる相手方が誰であるのかを検討します。
株主であれば誰でも請求できますか?
株式の取得日や処分日によって異なります。
虚偽記載等が公衆の縦覧に供された時から、虚偽記載等の事実が公表された日(以下、「公表日」といいます。)までの間に株式を取得し、かつ、公表日までに株式を所有していた方(公表日以降に株式を処分した方、現在もまだ株式を所有している方、いずれも含みます。)です。
株式の取得時に虚偽記載等の事実を知っていた株主、公表日前の処分時に虚偽記載等の事実を知っていた株主は、請求することができません。
詳細はこちら【 請求者 】をご参照ください。
いくら損害賠償請求できるのですか?
この点は大きな争点になります。詳細はこちら【 賠償額 】をご参照ください。
時効はありますか?
あります。詳細はこちら【 時効 】をご参照ください。