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時効(請求に期限はありますか?)

弁護士による粉飾決算専門サイト > 時効

有価証券報告書等の虚偽記載等に基づく損害賠償請求権には時効があります。
市場で株式を取得した方と、募集・売出しに応じて株式を取得した方では時効期間が異なりますので、ここでは分けてご説明します。

市場で株式を取得した方

請求権者が虚偽記載等を知った時、または相当な注意をもって知ることができた時から2年間で請求権は消滅します。一般的に、虚偽記載等があったことが公に公表された日(以下「公表日」といいます)をもって虚偽記載等の事実は初めて株主の知るところとなりますから、一般的には公表日から2年で時効となります。
公表日から2年以内に、書面等で会社に対して損害賠償請求の意思表示を示せば時効にはかかりません。

また、虚偽記載等の報告書が提出された時から5年が経過した場合も、請求権は時効により消滅します。
5年以上前の虚偽記載等については請求できません。
ただし、有価証券報告書は1年に1度提出されることから、前年度の有価証券報告書の虚偽記載等は、虚偽記載等の公表などにより訂正されない限り、翌年度以降の有価証券報告書にも虚偽記載等があることになります。よって、虚偽記載等が継続している場合には、最も新しい虚偽記載の報告書の提出を起点として5年をカウントします。この点は確立した最高裁判決がありませんが、当事務所ではこの解釈で立論します。
例えば、2015年の有価証券報告書の虚偽記載が2020年に公表された場合、2016年~2020年の有価証券報告書にも虚偽記載が連続している可能性が高くなります。その場合、2020年の有価証券報告書の提出日から5年をカウントするという解釈です。

以上とは異なり、金融商品取引法に基づく請求ではなく民法の不法行為に基づいて請求をする場合は、虚偽記載等を知ったときから3年を経過したときに時効により消滅します。また、有価証券を取得したときから20年を経過したときに時効により消滅します。

「公表日」はどのように決まりますか?

「虚偽記載等の事実を公表した日」を「公表日」と呼びます(金商法21条の2の3)。

公表日前後の株価の変動をもって損害を算定する場合、この公表日をいつと設定するかによって損害額が大きく変わることがあるため、重要な争点となります。

公表の主体は、虚偽記載等のあった有価証券報告書の提出者である会社や、会社に対する監督権限を有する行政官庁等です。出所不明の噂話が流れた日は公表日にあたりません。

公表の手段は、会社や行政官庁による報道発表、記者会見のほか、会社による証券取引所への通知など、当該虚偽記載等の存在が一定の信頼性のある形で広く市場に伝達される日をいいます。

どの程度の事実が明らかにされると「公表」と言えるのかについては、虚偽記載の全容が必ずしも完全に正確な形で公表される必要はありません。市場の評価の誤りを明らかにするに足りる基本的な事実関係の伝達がなされた場合には、「公表」があったとされます。

たとえば、雑誌などのマスメディアに対する会社の非公式なインタビューへの回答は「公表」には当たらないとし、検察官が司法記者クラブに加盟する報道機関の記者らに対して虚偽記載の容疑がある旨を伝達した日を「公表」と認定した裁判例があります。

募集・売出しに応じて株式を取得した方

請求権者が有価証券届出書や目論見書等の虚偽記載等を知った時、または相当な注意をもって知ることができた時から3年間で請求権は消滅します。
多くのケースでは、虚偽記載等があったことが公に公表された日(以下「公表日」といいます)をもって虚偽記載等の事実は初めて株主の知るところとなりますから、多くのケースでは公表日から3年で時効となります。
公表日から3年以内に、書面等で会社に対して損害賠償請求をすれば時効の進行を一時的に止めることができます。

また、虚偽記載等のある有価証券届出書が効力を生じた時、または目論見書の交付があった時から7年が経過した場合も、請求権は時効により消滅します。基本的には、株式等を取得した日から7年が経過した場合も、請求権は時効により消滅します。
7年以上前の虚偽記載等については請求できません。

以上と異なり、金商法に基づく請求ではなく民法709条に基づく請求をする場合は、虚偽記載等を知ったときから3年を経過したときに時効により消滅します。また、有価証券を取得したときから20年を経過したときに時効により消滅します。